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お仕事の裏側② – 信用金庫ってなにをやってるの?②

本コラムをご覧いただきありがとうございます。代表の田村です。

前回は、信用金庫とは何ぞやという話と入庫(入社のこと)したての頃のお話まででしたので、ここからいよいよ外に出てお客さんと接触してからのお話に入りたいと思います。日常的にどんな仕事をしていたのか、面白かったことや辛かったこと等々、色々と思い出しながら綴っていきます。 最初の店舗では、前回記事に書いた事務作業を覚えるフェーズを終えると、すぐに外回りの営業マンとして街に放出されました。

【信用金庫の営業活動】

さて、何も知らない営業マンとして野に放たれた私は、まずは自分の担当エリア内をウロウロし始めることになります。前回の記事で、信用金庫は営業エリアが限られているということを書きましたが、各支店単位で見た時の営業エリアはもっと狭くなります。私のいた信用金庫では、当時は支店から500m以内を重点エリアと定めていて、新規開拓をする際には専ら支店から近い場所でかつ取引のない先にアタックしていました。

営業マンの仕事は、①既存顧客との取引拡大のための営業(深耕営業)と②取引のない先への営業(新規開拓営業)の2つに大別できるのですが、このどちらにも地域密着型の金融機関ならではの特徴(喜び?苦しみ?)が詰まっています。 ということで、①と②の詳細を見ていきましょう。

【当時の仕事内容 – 営業編_①深耕営業】

あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、既存顧客に対するアクションを深耕活動と呼んでいて、代表的な仕事が集金でした。これは定期積金という毎月決まった日(主に5の倍数の日が多かった)に一定額を積んでいく預金の一種で、お客さんの家なり会社なりに訪問してお金を預かってくるのです。

「え、わざわざ現金を預かりに行くの?お客さんも現金を用意して待ってなきゃいけないし、なんでそんな面倒くさそうなことするの?引き落としで良くない?」って思いましたよね。はい、その通りです。そう考えるのが普通だと思いますし、私も最初はとても不思議で全く理解できませんでした。 ところがどっこい、当然ながらこれにはちゃんとした理由があって、かつ今思えば、ある意味合理的な仕組みだったんだろうなと感じる部分もあるのが面白いところです。今後はどうなるか知りませんが、広義の営業という観点では不変的な法則に則っていたのかなと思いますね。詳しく説明していきます。

その理由は、一言でいうと「集金すること(定期積金を通じて預金してもらうこと)が目的ではないから」です。これは信用金庫側からすれば営業活動の一部なのでそうなのですが、お客さん側からしても同じで別に預金をしたいわけじゃなく、何らか役に立ちそうな情報を求めている法人だったり、ただ話し相手が欲しい個人だったりと様々でした。

ですが、集金はただの口実というのは共通していて、お互い定期的にコミュニケーションを取るために定期積金というツールを使っていたということですね。お客さんに気に入ってもらえると毎月集金に行った時に色々な相談をされるようになるので、若かりし日の私はそこで融資情報を拾って融資担当に繋げる(融資担当については別記事で解説します)という王道を突き進み、世の中にはどういった資金ニーズがあって、その資金ニーズに応えるために金融機関はどんなアクションを取るのかといったことを学んでいきました。

また、定期的なコミュニケーションのための方法としては、定期積金の他には定期預金の満期を案内する(+継続なり増額なりしてもらう)ということもやっていました。これは定期積金の契約がないお客さんでも定期預金はやっていたりするので、「そろそろ満期なのでお手続きします」などと言って普段会うことの少ない方々を訪問していました。想像に難くないと思いますが、定期積金の集金は法人や割と年配の個人が多く、定期預金しかないのは働き盛りの比較的若めの個人が多かったなという印象ですね。

そんなこんなで、信用金庫の営業マンの主な仕事は、「預金残高を増やしつつ常に融資に繋がりそうな情報を集めまくる」ということに集約されます。しかしながら、既に取引のある先に対する深耕営業でも何の理由もなく突撃するのは並みのメンタルでは難しいため、定期積金だの定期預金だのという口実で訪問し、情報収集をしながら融資取引に繋げていくための糸口を探るという流れになります。

余談ですが、私がいた信用金庫では今はどうか知りませんが当時は投信や保険等の金融商品は扱っていなかったので、シンプルに預金か融資かどちらかを選んでもらうという非常にシンプルなスタイルでした。だからこそ、お客さんとしては例えば定期預金としてお金を預けてもほとんど増えないわけで、それでも預金をしてくれるというのは完全に経済的なメリットを超越した関係が構築されていないと無理です。当時これはかなりツラかったのですが、年齢を重ねるごとに ❝なんだかんだ言っても最後は人間関係だよね❞ と思うようになりましたね。

今回はここまでにして、次回は新規開拓営業の話をしていきたいと思います。新規開拓営業という身も心も削られていきそうな仕事の中での、信用金庫ならではの喜びや苦しみなんかをシェアする予定です。

最後までお読みいただきありがとうございました!